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事業再生にあたっての基本的な考え方(中)
2011年8月25日

税理士法人阿比留会計事務所 福岡事務所長
公認会計士・税理士 阿比留 一裕 氏

Q3:利息も大事?

 この観点も、銀行が上場企業の営利企業である以上は無視できません。「この会社に貸しておくより、サッサと回収して国債でも買っておいたほうが、よっぽど利息取れるよね」となれば、そうしなければ銀行が株主から怒られますから。要は、銀行取引もビジネスですから、「利息を払う」「手数料などを払う」あるいは「継続的に新規融資先を紹介し続ける」などなど、とにかく「金融支援をしてでもこの会社と取引を継続した方が、銀行にとってはトータルでは利益がある」というかたちにしておかないと交渉では不利です。

Q4:会社ができる社会貢献とは?

 「銀行がこの会社に金融支援をする」ということの社会的意義も考えなければなりません。パッと出てくるのは「雇用の確保」。これは地方に行けば行くほど影響が大きいです。それも、連鎖倒産の可能性がありますから、取引先まで含めての話です。それから、その会社の独自性・希少性も当然重要です。「この会社は替えが効かない」ということであれば、それは存続させる社会的意義もあるでしょう。逆に、何の独自性・稀少性も無いということであれば、あえて存続させる社会的意義は薄くなります。

Q5:実際に金融支援をお願いすると、どのくらい時間がかかる?

 実際に銀行へ金融支援をお願いするときには、とにかく時間が大事です。「この日には資金繰りで破綻する」というところからさかのぼって、最低でも半年は時間が必要です。これは「早期発見、早期治療が大切です」というキャンペーン的な話ではありません。現実問題、ここまでに書いてきたような「銀行の関心事」を満たすような内容を整えて、金融支援の交渉をしようとすると、最低でも半年はかかるからです。

税理士法人阿比留会計事務所 福岡事務所長 公認会計士・税理士 阿比留一裕 氏 銀行はいわゆる大企業ですから、金融支援などという大事なことを一担当者の独断では決められません。必ず、稟議決裁が必要です。「しかるべき部署に稟議をまわす」だけでも1カ月はかかります。それから「稟議をまわす」ためには、判断するための資料が必要です。通常、その資料は会社がしかるべき専門家に依頼してつくってもらうことになります。なぜなら、銀行の立場からすれば、きちんとした専門知識を持った人が第三者的な立場から「これなら大丈夫」と言ってもらわないと困るからです。会社が自分でつくると、「自分で自分のことを大丈夫と言っている」ということになりますので。

 それに、実際に金融支援を受けるとなれば、税務的な問題や事業再編の問題など、各分野の専門知識を組み合わせる必要があります。現実問題として、専門家の助けが無いと話が進められません。専門家に依頼して、調査実施+資料作成でおおよそ2カ月は必要です。

 これ以外にも、サブ以下行との交渉、スポンサーとの交渉などが必要です。サブ以下行が多数あったりすると結構な時間がかかります。スポンサーが必要かどうかは状況次第ですが、普通に考えれば窮地に陥るような会社は、要は現状のビジネスでは儲かってないわけですから、そこを打開するためのビジネスパートナーが必要です。また、一時的なつなぎ資金を出してもらうためにもスポンサーが必要というパターンが多いです。ただ、スポンサー候補にお願いしてまわり良い返事をもらうまでには結構な時間がかかるわけです。
 こうやって「金融支援のために必要なもの」を並べていくと、最低でも全体で半年は必要ということになってきます。

(つづく)

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<プロフィール>
阿比留 一裕阿比留 一裕(あびる かずひろ)
1980年9月生まれ、長崎県出身。大阪大学在学中に公認会計士試験に合格。日本最大手の監査法人に勤務後、ヘッドハンティングにより地方銀行へ。現在は独立し、主に事業再生業務やM&A業務を行なっている。

税理士法人阿比留会計事務所 福岡事務所
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