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事業再生のカギを握る士業たち 経営者に問われる活用術(4)
2011年9月 6日
税理士法人エム・エイ・シー 代表社員 税理士 山本 研太郎 氏
高島司法書士事務所 司法書士 高島 謙太郎 氏

<複雑化する再生スキーム 組み立て方で融資も影響>

 ―今は、士業の皆さんも経営アドバイザー的な役割を担う時代になっているようですね。

 山本 昔みたいに決算して、申告だけしているような税理士さんは段々減っていくというか、淘汰されていくと思います。
 どう売上を伸ばしていくかといった営業については経営者が一番わかっていらっしゃると思いますけど、実際に売上は伸びているけど利益は減っているような、そういう中身の部分での話を一番よくできるのは私たちじゃないかと思っています。
 税制も毎年改正されていますし、金融に関連するさまざまなスキームが、とても複雑になっています。それにすべての税理士さんがちゃんと対応しているわけではありません。いろいろな勉強会などにも参加して知識を広める努力も必要でしょう。

 高島 司法書士の立場から言えば、近年増えている合併や会社分割、社内の組織再編の分野は、1日2日でできる仕事ではありません。最低でも数カ月、場合によっては1年単位でさまざまなスケジュールを組んで、最終的に会社分割を行なうというかたちになりますので、私たちも日々、複雑なノウハウを蓄積していかなければいけませんね。
 また私は、事業再生を実務的に行なうターンアラウンド・マネジャーの資格も持っていますが、少子高齢化とともに税金を納める会社も少なくなっている状況で、九州あるいは日本が伸びていくためには、事業再生が今後の大きなテーマになっていくと思うんです。そのままでは倒れてしまいそうな会社が生き残っていけるようにスキームを組む仕事は、やりがいを感じますね。

<「リスク管理」軽視せず士業を使いこなして>

 ―スキームが複雑化すると、経営者の皆さんに理解してもらうのも難しくなっていませんか。

 山本 とくに中小企業では「売上至上主義」の経営者の方が多く、「売ること」には慣れているけれども、「リスク管理」がそれほど上手にできない人が少なくないですよね。リスクを取ってはいけないということではないんですけど、リスクを取りながらも徐々にコントロールしていかないといけない部分があります。そこはやはり専門家の方が長けていますから、私たちをうまく活用して、バランスを取って経営していくべきだと思います。
 私たちも顧客あっての税理士ですから、いかに経営をうまくやっていってもらうか、できることはないか、きめ細やかにフォローしていきたいと思っています。

 高島 たしかにリスク管理は重要なポイントですよね。そこがうまくできる経営者かどうか。会社を経営するというのは、本来はものすごくいろいろな知識が必要なので、士業のような専門家の人たちを活用しながらリスクヘッジしながら経営しなくてはいけないのに、そこの知識がない。スキームの複雑化にともなう需要はたくさんあるはずなのに、経営者も士業の方も、互いに近づききれていないというのが現状です。
高島司法書士事務所 司法書士 高島 謙太郎 氏 士業は、一番良いと思われる方法を考えて提示していますが、考えれば考えるほど複雑になっていくので、個々の部分について完全な理解を得られなくても、明確なゴールとそこまでの大まかな道筋だけは、一心同体で共通の理解が必要です。
 ゴールに向かって血を流してでもいくんだという決意に近い理解を得られないと、いかに士業が努力を重ねても完全な事業再生はなかなか難しいですね。一方で、共通理解を得た後は思い切って手放すというか、任せてもらえるとうまく進みやすいですね。
 逆に、会社の情報、とくにマイナスな実績や数字などを小出しに出してこられると困ります。「このぐらい関係ないだろう」と思われるのかもしれませんが、結局スケジュールの組み直しをしなくてはいけなくなるので、会社にとって良いことは何もありません。
 実は伸びている企業の経営者の方って、登記にしても法的手続きにしても「どうしたらいいですか」ではなくて「こういうことができますか」という具体的な質問が多いんです。経営者が求めていることが明確であるほど、こちらも提案しやすくなりますね。

(了)

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山本 研太郎山本 研太郎(やまもと・けんたろう)
 1971年12月生まれ、東京都出身。立教大学卒業後、大手生命保険会社を経て2007年に税理士登録。趣味は、お酒とゴルフ。

税理士法人エム・エイ・シー
福岡市博多区博多駅東1-16-23
TEL 092-431-3310


高島 謙太郎高島 謙太郎(たかしま けんたろう)
 1981年、福岡市生まれ。上智大学文学部でジャーナリズムを学ぶ。大手製薬会社勤務を経て2009年に司法書士試験合格。翌10年、高島司法書士事務所を開設。趣味は釣り、読書、ラーメン店めぐり。

高島司法書士事務所
福岡市中央区長浜2-5
TEL 092-713-4900

※高島の高は(はしごだか)

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