ネットアイビーニュース

スペシャリスト(専門家)企業経営ネット

サポート事例
【弁護士対談】企業活動のリスク管理者としての弁護士(2)
2011年9月16日
明倫法律事務所 弁護士 田中 雅敏 氏
弁護士法人アクティブイノベーションウエスト 弁護士 清田 知孝 氏

<再生しやすいケースとは>

 清田 専門家同士が得意分野を活かしあうことでシナジー効果を得ることも可能になります。ところで、再生案件のうち、どういうものが成功しやすいとお考えですか。

 田中 災害や大口の焦げ付きの発生といった一過性の原因によるものであれば、それを取り除けば再浮上できる可能性が高いと考えています。そういうケースならば民事再生や私的再生、政府系の金融機関などを活用することで再生のための策を考えますね。

 清田 そうですね。その一方で、構造的に業界全体が落ち込んでいて、会社もそれに同調していて、ほかに有効な手が打てるタイミングも逸していて、今さら設備投資もできない、経営者の心も折れているという場合は非常に選択肢が狭くなりますね。

 田中 心さえ折れておらず、構造的な問題を抱えていないならば、できることやチャレンジする価値のある選択肢は多くなります。やはり、経営者の気持ちというのは、目には見えませんし、決算書にも出てきませんが、非常に重要な要素と言えるでしょうね。

 清田 中小企業の場合は、社長個人の技術が会社の評価となることが多くあります。社長イコール会社という状況です。そのような会社が経営破綻した場合、会社を閉じて社長が個人として再出発した方が良いケースもありますね。社長自身としては社歴があり、思い入れもあることから、会社を閉じることについて非常に厳しい決断・思いがある経営者も多いですが、そのような「再生のやり方」も選択肢としてはあると思います。

明倫法律事務所 弁護士 田中 雅敏 氏 田中 たしかに、社長の技術力ややる気というのは、非常に重要です。社長の持っている資質や技術力が十分にある場合、必ずしも既存の法人という枠組みにとらわれず、ドラスティックに再生を行なうことも可能です。一方で、そのような技術があっても、本人の気持ちが萎えてしまっていると、せっかくいろいろな選択肢をご提案できても、結局は実行できずに、破産して事業を廃止する道を選ばざるを得ないこともあります。我々がこういうスキームがあるという提案をしてあげられても、やはり本人のやる気があるかどうかが一番大きな要素になるんですよね。

 清田 逆に会社をつぶしたくない、この会社で再生したいというやる気あふれる方もいらっしゃいますが、すでに手遅れになっていることもあります。もっと早く相談に来てくれたら良いのに、とよく思いますね。それは、我々弁護士に対する敷居の高さであるなど業界として考えなければいけない我々の側の問題もあると思います。

<金融機関はもっと柔軟に>

 田中 企業の再生に関しては、2000年に民事再生法が施行され、ずいぶんとやりやすくなりましたね。

 清田 民事再生法施行から12年、同法の利用方法もかなり応用がきくようになりました。

 田中 民事再生法は柔軟性のある手続きですので、それを使う方の能力によっては、かなり大胆な事業再生も行なうことができると思います。単純に「民事再生をする」ということではなく、民事再生法を使ってどのような再生を行なうのか、その明確なビジョンが、使い手にも求められると言えるでしょうね。

 清田 法律は整ってきていても、それ以外の部分で問題を感じることがあります。端的に言うなら、金融機関の対応です。せっかく法的な再生は問題なくできたとしても、その後、いつまでも新たな融資が受けられないために再生が頓挫してしまうこともあります。

 田中 金融機関がリスタートのあとも相手してくれるかどうか、どういう対応をしてくれるのかというのは企業にとっては非常に大きな問題ですよね。再生計画が認可されて、再生手続の登記も消えて外見上きれいになったとしても、銀行がいつまでも正常な取引をしてくれなければ、先が読めない状況が生まれてしまいます。

 清田 金融機関も企業ですから、慎重に動くというのもよく分かります。けれども、福岡、九州の経済といった地域のためにこの会社は潰してはいけないという視点も持ってほしいと思います。銀行を責めるわけではありませんが、経済を活性化させるという視点を持って、ときには大胆に行動してほしいですね。

 田中 再生のために私的な整理をするというときでも、銀行の担当によっては「そんなことをやっても処理できないから、破産してくれたほうが良い」と言われることもあります。銀行という枠組みで任意の債権放棄はしにくいという理屈もわからないではないですが、清田先生のおっしゃるとおり、中身をもっと見てほしいと思います。地域経済を活性させることが金融機関の発展にもつながりますから。

(つづく)

≪ (1) | (3) ≫

田中 雅敏田中 雅敏(たなか まさとし)
 弁護士・弁理士。1971年12月生まれ。山口県出身。慶應義塾大学卒業。平成11年に弁護士登録。現在、明倫法律事務所代表弁護士。趣味はマラソンと旅行。知的財産についてはトップクラスの実績を誇る。

明倫法律事務所
TEL:092-736-1550
http://www.meilin-law.jp/


清田 知孝清田 知孝(きよた ともたか)
 弁護士。1980年6月生まれ。東京都出身。明治大学卒業後、平成20年に弁護士登録。幅広い司法サービスを展開している。趣味は読書。資格士やコンサルタントなど幅広い人脈を持ち、チームでの企業活動サポートには定評がある。

弁護士法人アクティブイノベーションウエスト
TEL:092-716-4704
http://www.ai-west.com/

新着情報
セミナー開催予定