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中小企業も外部ブレーンを活用する時代(後)
2012年1月11日

 前回は弁護士や司法書士を中心に述べたが、今回は公認会計士と税理士を中心に述べる。中小企業にとって資金繰りは重要だ。当然、どのように税理士、会計士とつき合うかが経営にも大きな影響を与える。

<資金繰りにスペシャリストの知恵を使う>
srm.jpg 2006年にスタートした公認会計士の新試験制度により、同資格の合格者が急増した。公認会計士の業務に関係するIPO(株式公開)やM&A案件が増加するとの見通しから合格者数が増やされたのだが、その目論見は大きく外れた。とくにリーマンショック後の景気低迷は、IPOやM&Aを減少させたばかりでなく、それらにともなう財務・リスク関連のコンサルティング業務も減少させた。上場企業の内部統制に関する業務も、すでに対応が一巡したことで需要は減少。この結果、需要増を見越して公認会計士を大量に採用してきた監査法人は、相次いでリストラを迫られる事態となった。

 こうして溢れた公認会計士が仕事を求めて彷徨っている。昔は公認会計士として独立していても、古巣の監査法人が繁忙期に入ったときには、その仕事をスポット的に手伝うことでの収入もあった。ところが監査法人そのものが仕事不足でリストラを余儀なくされる状況では、そうした仕事が独立した公認会計士に回ってくるわけもない。そこで税務関係の業務の比重が高くなり、税理士と顧客を奪い合う形になっているのだ。

 また最近では、税理士の廃業が増えているという。もともと平均年齢が高いことに加え、競争激化から顧問先を維持することが難しくなってきているためだ。一方で、若い税理士の独立開業も少ない。開業しても軌道に乗せることが難しいからだ。こうしたことから税理士事務所の買収話もよく聞くようになった。先行きを不安視する事務所や、後継者問題を抱える事務所も多いため、余裕のある税理士事務所は買収により顧客の獲得を狙っている。今後こうした動きには、さらに拍車がかかるだろう。税理士の業界はドラスティックな変化の時代を迎えている。

 中小企業の経営者にとって、公認会計士と税理士の競合激化で税務関係のコストが安くなることは悪いことではない。ただしこの業務は能力差も大きく、安かろう悪かろうの事務所も多い。財務や会計の領域は、中小企業にとって非常に重要な部分だ。あまり意識をしていない経営者も多いが、企業の資金繰り、とくに金融機関からのファイナンス部分において、大きな結果の差を生じさせる可能性がある。最近になり金融コンサルタントの存在感が増しているのも、この面の重要性が再認識されているからだろう。経営者としては税理士や会計士、金融コンサルタントが、どの程度のレベルかを図っておく必要があり、それを見抜くための勉強も必要だろう。

 ここまで取り上げてきた法律関係や会計・金融にかわわるところ以外でも、近年増加している労使トラブルでは有能な社会保険労務士が必要だし、複雑化する事業スキームを効率よく進めるためには有能な行政書士が必要だ。また社内活性化のための人材コンサルタントも経営力の向上には欠かせない存在だ。スペシャリストはその専門性から座っていても仕事がくる時代があった。一方で中小企業の経営者は、外部ブレーンの活用に有効性を見出さず、勉強を怠ってきた面がある。スペシャリストと企業経営者が上手く連携すれば、今まで以上に効率的でスピード感のある経営が可能だ。時代の変化は早い。激動の時代を生き抜いていくためには、有能な外部ブレーンをいかに使いこなすかが、中小企業の経営者にとっても重要な要素となるだろう。

【緒方 克美】

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