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現場主義の心優しき老賢者、「支配人」制度推進を掲げる(後)~須郷昌徳共同事務所
2012年3月16日

<いまも教壇に立つ「伝説の教師」>
0316_ikuseikoza.jpg 2011年11月18日午後7時。『「支配人」育成講座』(全6回)の2回目が福岡大学七隈校舎で開かれた。教壇に立つのは、須郷昌徳氏。「今、企業の面接で"自分は入社して支配人になりたい"と言ってもキョトンとされるやろ。けど、少し経てば、支配人は引く手数多になりますたい」と言って子どものように、キャッ、キャッ、と笑う。

 時代は変わって、今から30年前の1981年。西日本短期大学附属高校に若き日の須郷氏の姿があった。同氏は職員たちに、「何が何でも生徒を集めなくてはいかんですたい。高崎山に行けば猿が一杯いるじゃろうが。そのなかから人間らしい猿を何匹か引っ張ってこい。それがダメなら岩田屋からマネキンを買って来て座らせておきんしゃい。生徒の質が学校を変えるのではなく、数が質を変えるのです。それがわたしの哲学ですたい」と言って、同じようにキャッ、キャッ、と笑った。

 当時の西短は、理事長と会長の乱脈経理により、学校の負債が約12億円にのぼるほどの窮地に立たされていた。そして須郷氏は、その再建を一手に背負っていた。まずは、前述のように、生徒の数が質を変えるという哲学のもと、生徒集めに奔走。新聞にまで生徒募集の広告を載せるなど、奇策を次々と考えた。また、「退学者ゼロ運動」も実施。現在でも、問題を起こした生徒を退学に追い込む学校は数多くあるが、あえて若き日の須郷氏は、その逆に打って出た。

 不正経理事件の発覚した81年4月の入学者はわずかに70名。しかし、それが83年には407名まで増えた。その後、87年頃からは毎年550名前後の新入生が門を叩き、ついには全校生徒数が1,600名を超えた。須郷氏が魅力的な学園づくりに邁進した結果が数字に表れたということだろう。他の学校でなら、火の粉を振り払う目的や見せしめのために退学させる生徒も、真の教育とは見捨てることにはないと、断じて追い出さなかった信念の勝利と言える。人情味溢れる須郷スピリットの真髄がここにある。

<あの日と同じく、まだ夢は続く>
 舞台は再び福岡大学の教壇に戻る。「向こう数年のうちに支配人制度を浸透させて、定着させるのが私の夢ですたい」。そう言いながら、前のめりになり受講者たちを見る目は、輝いていて、西短の再建に奔走していたあのころと変わっていない―そう思わせるだけの力がある。信念の男、須郷昌徳はまだまだ現役なのだ。

 今回、須郷氏は『「支配人」育成講座』において、実際の裁判事例を挙げて、中小企業事業者における支配人活用事例を熱弁した。受講生は現役の学生はもちろんだが、スキルアップを目指す社会人の姿が目立った。

 支配人制度は、一般社団法人福岡経営法務研究会の北原勉代表理事が、「(5年以内に3回までの受験制限がある)司法試験に3回不合格だった人も、その知識を生かして支配人として活躍してほしい」と呼びかけるように、潜在的ななり手もいて、日本のビジネス界の新しいトレンドになりえるポテンシャルを秘めている。労使ともに、この新しい流れを見逃さず、活用する姿勢が必要になる。

(了)
【清水 秀生】

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<プロフィール>
須郷 昌徳(すごう・まさのり)
1940年9月22日生まれ。山口県阿武郡小川村(現・萩市)出身。64年に佐賀大文理学部を卒業後、学術研究所勤務を経て、西日本短期大学教授に就任。経営破綻寸前だった同短大の再建で手腕を発揮。その後は同短大附属高校の校長も務め、「退学者ゼロ運動」などユニークな教育で全国から注目を集めた。

<OFFICE INFORMATION>
須郷昌徳共同事務所
所在地:福岡市中央区舞鶴3-1-30
TEL:092-721-1600
FAX:092-734-2800
URL:http://sugou-office.sakura.ne.jp

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