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消費税の還付申請をミス 税理士に716万円の賠償命令
2012年4月 5日

 税務経理に関する顧問契約を結んでいた税理士が消費税還付申請を怠ったとして、依頼者が税理士を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁(高橋信慶裁判長)が請求通り不法行為による損害を認め、約716万円の賠償を命じる判決を言い渡したことが4月5日、わかった。判決は3月30日に言い渡された。

bi.jpg 賠償を命じられたのは、中垣浩一税理士(九州北部税理士会所属)。福岡市博多区住吉に税理士事務所を開業している。訴えていたのは、福岡県大野城市で不動産賃貸業などを営む有限会社柴田(柴田善晴代表)。判決によると、中垣税理士は、有限会社柴田と1981年10月~2009年10月まで顧問契約を結んでいた。

 判決は、1999、2003年度(いずれも事業年度)の不動産取得に関わる消費税の還付申請を怠った不法行為により、1999年度の還付金相当額316万円、2003年度の還付金相当額276万円の損害を受けたと認定。免税事業者として税務処理を行なったため1999年度の翌年度に納税を免れた消費税相当額約81万円を、損害賠償金額から相殺した。

 中垣税理士側は、「消費税課税事業者となる場合、税抜き経理方式を採用するのは間違いなく、税込み経理方式を採用したことによって減少した法人税を損害額から控除すべきだ」などと主張していたが、判決は、税抜き経理方式を採用したとは直ちに認めがたく、被告の主張の前提を欠くとして退けた。

 また、還付金相当額を雑収入に計上した場合に増加した法人税額を損害額から控除すべきだとの税理士側の主張についても、「還付金相当額に対して課せられるべき租税額を控除すべきと解するのは相当ではない」(最高裁判決、1970年7月24日・第2小法廷)を引用し、「損害額から控除することはできない」とした。

 判決後、柴田代表は「消費税だけでなく、法人税、所得税についても、適正な税務処理がなされていない。そのため、本来納税する必要がないのに過大に納めたり、還付を受けられたはずなのに受けられなかった」と述べ、消費税以外の税務処理をめぐる損害についても賠償を求めるとした。すでに、福岡地裁で訴訟が係属中で、審理が注目される。

 中垣税理士事務所に連絡をし、本人への取材を申し込んだが、「必要なら連絡する」との回答のみで、コメントを得られなかった。
 税理士の懲戒処分などの監督を行なう国税庁では、福岡国税局が「民事訴訟なので、判決については、現時点では承知していない。一般論として、通報があれば、事実関係の有無も含めて調査を行なう」としている。

【山本 弘之】
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