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債権回収最前線 第1回「アビリオvsユニカ攻防戦」(前)
2012年5月24日

 5月の某日、福岡簡易裁判所の口頭弁論が開かれる108号法廷前の開廷表には、原告アビリオ債権回収(株)(以下アビリオ)の訴訟がズラリと並んだ。事件数は、午前10時に47件、同11時に43件、合計90件。通常1枚の開廷表が、A4用紙3枚となった。簡裁だけでなく福岡地裁でも最近、アビリオが譲渡債権請求した訴訟が目立つ。債権回収最前線から最新事情を紹介する。

<地銀・信金の不良債権、全国から>
sora_6.jpg アビリオは、三洋信販(株)の100%子会社として設立された三洋信販債権回収(株)と、プロミス(株)の100%子会社パル債権回収(株)が2010年合併して誕生した。親会社のプロミスが12年4月に三井住友フィナンシャルグループの完全子会社になり、5月1日には、(株)三井住友銀行法人財務開発部長を務めた岩波雅彦氏が代表取締役に就任。三井住友銀行系のサービサーとして、小口債権、大口債券の両方に回収・再生のノウハウを持ち、約1,800の取引先のうち約4割を地銀・信金・信組が占め、全国の金融機関から幅広く債権を買い取っている。

 訴訟の目的は債権の回収だが、支払に応じない債務者に対する最終手段として、債務者の預金や土地建物を強制執行できるように債務名義(仮執行文付き判決)を得る狙いがある。

<訴訟費用倒れ? 解散会社まで訴える>
 アビリオ債権回収が原告の訴訟で最近あった判決の相手は、北九州市の土木会社や大分市の貨物運送会社、四国中央市の土木会社など。ほとんどが08から09年にかけて返済が滞っている。08年9月の「リーマン・ショック」の影響だ。原債権者は、親和銀行、大分県信用組合、香川銀行などの地方銀行で、不良債権として売却されたわけだ。

 ところが、回収相手の債務者の会社のなかには、すでに解散していて清算手続き中のものまであり、目を疑った。めぼしい財産があるとはとても思えない。いくら安く買い叩いた債権だといっても、回収できなければ訴訟費用倒れではないか。判決を得ても、回収できなければ、カラ手形同然だ。債務者は、弁護士に依頼するお金があるのかかどうかわからないし、四国や大分から福岡の裁判所まで来ないかもしれない。

 案の定、そのうち何社かは、裁判所から催促を受けても答弁書を提出せず、第1回口頭弁論に出頭もしなかった。もちろん、判決はアビリオ債権回収の請求通り認めた内容にはなったが。

<ユニカ「2,500万円しか支払わない」>
 一般的には、サービサーの回収コストはシビアこの上なく、回収可能性がないのに、訴訟費用をかけて債務名義をとる意味がない。
 そのような疑問に感じていたら、ビッグな新件が飛び出してきた。
 相手は、コアマンションをてがけたマンション販売の(株)ユニカ(本社:福岡市、緒方寳作代表)だ。訴訟内容は、譲受債権残元金約14億円の一部請求、2億5,000万円の支払いを求めるもの。

 ゴールデンウイーク明けの5月8日、第1回口頭弁論が福岡地裁で開かれた。次の期日までの間で、双方で和解書を検討し、和解交渉をすると確認した。
 ユニカ側の答弁書は「認否、反論は追って主張」という、あっさりしたものだが、緒方代表の心中はおだやかではなかっただろう。

 訴状によると、訴訟前の交渉で緒方代表は、ユニカとコア(株)の債務あわせて約27億円に対し「2,500万円しか支払わない」と譲らなかったという。アビリオの回収担当者のはらわたが煮えくり返ったことは想像に難くない。

<「詐害的財産処分」を察知>
 というのは、ユニカの残元金14億円は、すでに担保不動産が売却された後とはいえ、同社は不動産を所有し、アビリオは当然かなりの回収を見込んだはずだ。アビリオはユニカ所有の不動産を調査したところ、「詐害的な財産処分」の動きを察知、つまり差し押さえを逃れるために第三者に売却し、名義を移していることをつかんでいた。
 なめきった回答に対するアビリオの動きは、手厳しかった。

(つづく)
【山本 弘之】

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