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九州・山口・広島の地銀22行の13/9月期(中間)決算を検証(19)
2013年12月17日

5.自己資本比率(国内基準)から見える九州・山口・広島の地銀(22行)の実力度について

★第1位~第10位
◆自己資本比率が第5位の肥後銀行(本店:熊本市)について検証する。  
 下の表は九州・山口・広島の地銀22行の自己資本比率(国内基準)順位表から抜き出したものである。

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・肥後銀行の自己資本比率は13.07%、そのうちTier1(中核的自己資本)は12.4%あり、22行中第2位で、第一地銀では第1位と抜群の財務内容である。ただ問題は肥後銀行の預貸率が63.15%で、22行の中で十八銀行の57.85%に次いで2番目に低いことだ。 そこで分子にあたる貸出金の推移を見ると下記の表となる。

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・肥後銀行の13/3月期は前年比1,098億円(年率4.61%)増加しているが、10/3月期は前年比▲61億円、11/3月期は前年比662億円、12/3月期は567億円と増加しているものの、ここ3年間の増加額は2,327億円であり、その半分近くは13/3月期で増やしたものである。要は2008年9月15日に発生したリーマン・ショックによる金融危機以降の4年間、リスクの高い貸出金を積極的に増やしていなかったことが、預貸率が低迷する一因となっている。
・一方競合する熊本銀行は13/3月期に823億円(年率9.03%) 増加させ、1兆円の大台に手が届くところまで来ているが、息切れしたのか13/9月期(中間)では前期比▲7億円となっており、下期に巻き返しが図れるかどうかに注目が集まっている。
・かつて熊本県に本店を構える銀行は、肥後銀行、熊本銀行、肥後ファミリー銀行の3行があり、一強二弱の体制が続いたが、1992年熊本と肥後ファミリーが合併し熊本ファミリー銀行が誕生したものの、経営体質が弱く2007年にふくおかFGグループの傘下に入った。熊本ファミリー銀行は、熊本県のゆるキャラである「くまモン」の人気にあやかるかのように、今年4月「熊本銀行」に改称している。

◆肥後銀行は九州では福岡銀行、西日本銀行に次ぐ有力行の一角を占めている。ただこのままの体制を今後も維持できるかどうか。それを脅かす存在に浮上してきたのは熊本銀行だ。確かに熊本銀行の財務体質は肥後銀行に比べて今のところは脆弱であるが、九州全域を支配する動きを見せているふくおかFGをバックに、侮れなくなってきているのも事実だ。
・肥後銀行の13/3月期の総預金は3兆9,479億円(うち譲渡性預金2,181億円)で、貸出金は2兆4,930億円となっており、その預貸差の1兆4,549億円のうち、9,464億円をリスクウエイトがゼロの国債で運用している点だ。
・肥後銀行が高い自己資本比率を誇っているのは、分子の純資産が大きいこともあるが、分母である貸出金を低く抑え、またリスクのない国債を大量に保有していることが大きな要因と言える。アベノミクスを達成するため日銀の黒田総裁は「インフレターゲット2%」を掲げているが、もしそうなった場合、国債の暴落によって大きな損失を被ることも予想される。
・貸出金を増やせば貸し倒れリスクも生じることになるが、地方銀行の役割は地域経済を活性化するためにある。その原点を忘れては存在価値がなくなり、その地位は他行に取って代わられることになりかねない。九州・山口・広島の地銀22行の中で預貸率の低い銀行は、集めた預金が地元産業の育成に有効に還元される仕組みを創造していくことが求められている。

(つづく)
【北山 譲】

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