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武田薬品の次期外人社長に最初の試練
2014年4月 9日

 日本の製薬最大手、武田薬品工業の初の外国人社長の目の前には、就任の花束よりも乗り越えるカベが立ちはだかっている。同社の糖尿病治療薬をめぐって、米国の連邦地方裁判所の陪審が60億ドルの懲罰的損害賠償を命じた評決があった。

 次期社長として4月1日付で最高執行責任者(COO)に就任したのはクリストフ・ウェバー氏である。
 昨年12月に武田薬品がライバルの英製薬大手からヘッドハンティングされ話題を集めていた。2日、東京都内で記者会見し、抱負を聞かれ、「世界各地で培った経験を生かしたい」と自信をのぞかせた。
 ウェバー氏は6月の株主総会後に武田薬品の社長に就任する。同氏の社長指名は創業以来233年の歴史を持ち、同族経営が長かった武田薬品にとって最初の外国人社長になる。
 ウェバー氏は、英製薬会社グラクソスミスクラインで、欧州、アメリカ、アジアにおけるワクチン部門を統括、2003年から2008年にはフランスにおけるGSK FRANCEの会長を務めるなどの経歴を持つ。
 ウェバー氏を次期社長として白羽の矢を立てた武田薬品の長谷川閑史社長は、「今回の人事により、武田薬品工業はグローバル戦略のさらなる強化と加速化することを期待している」と語った。

 社長交代の発表から僅か一週間も経たない8日、米国・ルイジアナ州の連邦地方裁判所は武田薬品が糖尿病治療薬「アクトス」について発がんリスクを隠したと認定し、懲罰的損害賠償として60億ドル=約6,200億円の支払いを命じる評決を出した。
 アクトスをめぐっては、アメリカの各地で訴訟が起こされており、昨年カリフォルニア州とメリーランド州の州裁判所の陪審が、武田薬品に総額820万ドルの損害賠償支払い義務があると認定したが、両裁判所の判事はいずれも評決を無効としていた。
 また今年に入ってもラスベガスの州裁判所の陪審は、武田薬品がアクトスのリスクを消費者に適切に警告していなかったとする原告の主張を退けていた。
 今回この薬を利用してぼうこうがんになったと主張するアメリカ人男性の訴えで、アクトスをめぐり米連邦裁判所で判断が下ったのはこれが初めてとなる。また陪審は原告への150万ドルの補償的賠償金の支払い、及び武田薬品のパートナーである米イーライ・リリーに対しても、30億ドルの懲罰的賠償金支払いを認定した。
 ただ専門家からは「この訴訟も無効となる可能性が高く、武田薬品の業績への影響はほとんどないのではないか」との意見や、「トヨタ車のリコール問題のように今後の展開次第では業績に大きな影響が出るのではないか」と懸念する声も聞かれる。
 武田薬品株は、配当利回りが高いことが推奨されてNISAでも買いを集めているが、主力商品であるアクトスの訴訟の行方が不透明なことから、8日の株価(終値)は4,572円(前日比-249円)と大幅な下げとなった。
 この評決を受けて武田薬品は「大変遺憾であり、承服しかねる」として今後、裁判で争う姿勢を示しているが、COOに就任したばかりのウェバー氏にとって、国際的な手腕を問われる最初の試練となりそうだ。

【北山 譲】
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