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労働の規制緩和、再び
2014年4月30日

 労働の規制緩和が再び動き出した。

 政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で相次いで、労働時間ではなく成果で評価する制度や、外国人を介護や家事支援などの分野でも活用する制度の検討の動きがあるからだ。

 安倍首相は4月22日の会議で、「人口減少下で、持続的成長を実現するため、老若男女を問わず、すべての国民が能力を最大限に発揮できるよう、柔軟な働き方を実現していきたい」と述べ、「子育てや介護など、様々な事情や多様なニーズに合わせて、労働時間規制の多様化を図る必要がある。時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組みを検討していただきたい」と求めた。
 これまでも手をつけようとしては消えてきた「残業代を支払わなくていい一般社員」の検討がまな板にのぼろうとしている。米国の「ホワイトカラー・エグゼンプション」と言われる制度が念頭にあると、労働界から早くも懸念が上がっている。

blog.jpg サービス残業の根絶に厚生労働省が力を入れた成果もあり、残業させて割増賃金の支払いを免れることは困難になってきた。
 時間外手当の規制外となる管理監督者と認められるには、経営の参画や労働時間の裁量権、地位と権限にふさわしい処遇など基準が極めて厳格で、対象は狭い。社会問題となった「名ばかり店長」がその象徴だ。
 最近では、セブンイレブン加盟店主も労働組合法上の労働者だとする県労働委員会の命令が出されている。労働者保護の性格を持つ現行労働法制は、竹中平蔵元経済財政担当相らにとって「岩盤規制」と映るのである。

 ただ、日本ではバラ色のように描かれている「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度について、オバマ大統領が見直しを指示しているのは、「規制緩和万能」への警告になる。
 オバマ大統領は3月13日、サラリーマン何百万人もが残業代の保護を受けられるように見直すように、労働省長官に指示する大統領覚書に署名した。
 米国では、週40時間超の労働時間に対し、5割増の割増賃金を支払わなければならない。「ホワイトカラー・エグゼンプション」の対象者(週給約455ドル以上の管理職や専門職など)は、割増賃金の適用除外となり、日本の管理監督者よりも対象が広く、事務職の一部も含まれている。
 ホワイトハウスの発表によると、もともとは高賃金のホワイトカラーを対象にした例外だったが、今では年間2万3,000ドル(約235万円)の労働者も対象になっている。オバマ大統領は、それは間違っているとして、サラリーマン何百万人が残業代の保護を受けられるように見直しを指示した。

 オバマ大統領は中間選挙を控えて、低中所得層の雇用創出や税制優遇措置、教育など、経済格差の是正に力を入れ、成果をアピールする狙いもある。選挙目当ての思惑を差し引いて見る必要はあるだろうが、オバマ大統領の発言は注目に値する。

【山本 弘之】

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