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店長自殺に賠償命令、予防対策は?
2014年11月 5日

office2.jpg 飲食チェーンの店長だった男性(当時24)が自殺したのは長時間労働と上司のパワハラが原因だとして、両親が経営会社などに損害賠償を求めた訴訟で4日、東京地裁が会社と上司らに約5,800万円の支払いを命じる判決があった。企業の予防対策のポイントをみてみる。

 判決は、長時間労働とパワハラを認めただけでなく、会社がその防止対策をとらず、ほかに自殺の原因が認められないとして、男性に過失があった場合に損害賠償を減額する過失相殺を認めなかったことでも、注目される。
 報道によると、残業は最大で月200時間以上にのぼり、上司からのパワハラも、ミスのたびに頭を殴られるなど度を過ぎており、すべての過労自殺・メンタルヘルス不調者の自殺で過失相殺しない判断となるわけではない。
 しかし、従業員が長時間労働やパワハラが原因でうつ病などになって自殺すると、裁判では、1億円以上の損害賠償が命じられるケースはざらにある。

 企業で予防対策をとる際、まずチェックすべきは、過重労働・長時間労働になっていないか把握することだ。
 今回判決があった自殺では、労災認定もされている。今回、精神疾患の発症について問題とされていないが、厚生労働省の通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」で示されているように、時間外労働が1カ月当たり100時間を超えていると、発症した精神障害が業務上の疾病と認定される可能性が飛躍的に高まる。たとえば、「配転」だけでは、心理的負荷は「中」に過ぎないが、これに恒常的な長時間労働が加わると、心理的負荷が「強」と評価される。
 月100時間以上の残業になっていないか、労働時間を把握する必要がある。

 今回の判決が上司らの個人責任を認めたように、パワハラ実行者の責任が問われるとともに、社長や役員個人も責任が問われ、賠償を命じられることがある。この点も要注意だ。裁判例でも、取締役の善管注意義務・忠実義務とは、横領や背任などの経済的な問題での任務懈怠だけでなく、使用者の立場から順守させるべき労働基準法上の義務についての任務懈怠も含まれると判断されている。

 メンタルヘルス対策としては、診断書の提出や受診命令、休職・リハビリ出社・自然退職などの規定整備が欠かせず、多岐にわたる。
 過労死防止法が11月1日施行され、過労死防止が国の責務とされ、長時間労働への対策はますます求められている。この機会に、まずは、長時間労働のチェックと残業のあり方を見直すことが、企業としてのリスク軽減の第一歩になる。

【山本 弘之】

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