ネットアイビーニュース

スペシャリスト(専門家)企業経営ネット

サポート事例
市民の安全より自己保身を貫く久留米市役所と鹿島建設の欠陥隠しを暴く(6)
2015年6月 3日

鹿島欠陥マンション裁判

一級建築士 仲盛昭二、一級建築士 星野信治

 柱と梁の接合については、建築基準法施行令において、存在応力を完全に伝えるよう緊結する事が規定されています。

z1.jpg

 上記47条は木造、67条は鉄骨造の規定ですが、鉄骨鉄筋コンクリート造である本件マンションにも、この建築基準法施行令の規定は適用されます。
 本件の柱と梁はコンクリート部分で、わずか15cmしか接しておらず、梁幅45cmの1/3に過ぎません(別紙1-1,2,3参照)
 水平面上で、梁幅の重心が柱の中から逸脱しており、工学的にあり得ない構造です。
 内部の鉄骨に関しては、前述の通り、鉄骨の梁と柱が162.5mmも離れており、緊結されておらず、有効な接合は全くありません。これでは、曲げ、せん断、軸力といった応力を伝達する事は不可能です。したがって、建築基準法施行令で定めている「存在応力を伝える」ことができない構造であり、この設計上の誤りを指摘することなく、建築確認を、メクラ判的に認可した久留米市の過失は、重大なものと言えます。

 前述の通り、「柱と梁の緊結」とは程遠いものであり、応力を伝達する事は不可能であり、明確に、建築基準法施行令に違反しています。

 以下に、東京都建築構造設計指針(235頁)を引用します。

z2_s.jpg

 東京都建築構造設計指針は、平成19年の建築基準法改正による技術解説書(日本建築センター)が発行される以前は、全国の行政庁において、建築確認の審査の際の手引きとして使われていました。本件マンションの建築当時も同様です。
 この東京都建築構造設計指針にも、SRC造の接合部の重要な前提として、
「柱コンクリート断面の中心と鉄骨の中心がなるべく一致すること」
「柱・梁の接合部は応力伝達機構が単純明解であること。局部的な応力集中を生じないこと。」
「鉄骨断面は原則として自立できる断面とすること」
 などを規定しています。しかし、本件マンションは、これらの規定にも反しています。

 構造計算書を見る限りでは、この接合部分に関して、特別な追加検討は、全く行われていません。
 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨で骨組みを形成した外側に、鉄筋コンクリートを打設し、「鉄骨」と「鉄筋コンクリート」の累加強度により、建物の耐力を確保する構造である事は前述の通りです。
 柱と梁が、応力を伝達するように接合される事は、建築構造の基本中の基本です。この基本が守られずに施工をされた本件建物は極めて危険な状態であり、補修も不可能です。よって、解決策としては、建替え以外に考えられません。
 設計が悪い事は勿論ですが、この単純な事を見落とし、メクラ判的・機械的に建築確認を認めた、特定行政庁である久留米市の責任は、極めて重いものと言えます。

(つづく)

≪ (5) | (7) ≫

新着情報
セミナー開催予定