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市民の安全より自己保身を貫く久留米市役所と鹿島建設の欠陥隠しを暴く(9)
2015年6月 8日

鹿島欠陥マンション裁判

一級建築士 仲盛昭二、一級建築士 星野信治

(エ)柱の帯筋(フープ筋)についての法令違反

 前項に述べた通り、本件マンションの全ての柱の1階柱脚は、RC造(鉄筋コンクリート造)として扱われるべき構造となっています。これに加えて、全ての階の柱符号C3,C3A,C4,C4Aと、15階から2階までの柱符号C2,C5,C5Aの柱については、Y方向の鉄骨が無いので、やはり、RC造の帯筋の規定が適用されます

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 RC造とSRC造では、そもそも柱の帯筋の規定が異なります。これは、SRC造の場合、内部鉄骨もせん断力に抵抗するため、鉄骨と鉄筋の複合的な働きがあるためです。RC部分となっている本件マンションの1階柱脚、及び、Y方向に有効な鉄骨が無い各階の柱には、内部の鉄骨が無いので、鉄筋(帯筋)は、RC造の規定が適用されます

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 本件マンションの1階柱は、柱断面100cm×100cmに対して、帯筋はD10@100となっています。鉄筋D10の断面積は0.71cm2ですので、帯筋比は(0.71x2/(100x10)=)0.14%であり、建築基準法施行令が定める0.22%を下回り、法規準を満足していません
 また、Y方向に有効な鉄骨が無い柱については、2階以上の階では、例えば柱断面90cm×80cmに対して、帯筋はD10@150となっています。鉄筋D10の断面積は0.71cm2ですので、帯筋比は(0.71x2/(90x15)=)0.11%であり、建築基準法施行令が定める0.2%を下回り、法規準を満足していません。これは、各階とも同じです

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 日本建築学会の「鉄骨鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」7条によれば、「帯筋のD10の異形鉄筋を用いる場合には100mm以下とする」と規定されています。

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 また、日本建築学会の「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」235頁によれば、「耐力壁の付帯ラーメンの柱の帯筋にD10の鉄筋を用いる場合の鉄筋間隔は、100mm以下」と規定されています。

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 これに対し、本件マンションの上記のRC造に該当する柱の帯筋は、「D10@150」となっており、「100mm以下」という規定に反しています。つまり、本件マンションの柱のY方向の帯筋は、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、いずれの規定にも反しているのです。被告久留米市は、当然、この規準を熟知しているはずであり、建築確認の審査において、規準に反している事を指摘する義務があったはずです。久留米市がこの義務を怠ったため、仕様規定に反した建物を施工させてしまったのです。

(つづく)

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