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耐震不足マンション訴訟、鹿島と木村設計の責任は?(3)
2015年9月26日

koujityu.jpg 工事監理者は、着工時の確認から土工事、鉄筋工事、コンクリ工事、鉄骨工事、基礎配筋時・基礎完了時、1階立ち上がり、基準階・最上階工事、仕上げ・設備工事など工事の節目で、設計図書どおりに建築されているか確認することが望ましいとされている。週1回~月1回開かれる定例の工程会議などにも参加するし、建築確認審査機関の検査にも立ち会う。その報告や記録もしなければいけない。

 このような任務を持つ工事監理者は、建築主に代わって、建物の品質や基本的安全性を維持するための中核的な役割を果たす。そのため、工事の契約書には、監理者も記名押印する。
 契約上の監理と工事監理は同一ではないが、監理には、工事監理が含まれていると言われ、契約上の監理というのは、現在では、国土交通省告示第15号(2009年9月1日)に示される「標準業務」(この中に工事監理が含まれる)に、「標準業務に含まれない追加となる業務」を加えたものだとされている。

工事請負契約書には木村の社判、法人印
 原告側が入手した工事関係の資料の中に「工事請負契約書」がある。1994年9月12日、新生マンション花畑西の工事発注者の新生住宅(株)(永野宗重代表)と、請負者の鹿島建設(株)九州支店(内野武彦店長)=いずれも当時=が契約したもので、契約書には「監理者としての責任を負うためここに記名押印する」として、監理者に、ユーアンドエー設計事務所(瀬戸口通允代表)と木村建築研究所(木村忠徳代表)の記名押印がある。記名は社判、押印は法人印だ。

 契約書によれば、木村建築研究所が監理者だったのは明らかであり、契約書まで偽造だったと言うのだろうか。また、鹿島は「誰が監理していたか不明」と言うが、契約書を確認すれば監理者が誰か容易に把握できるはずだ。
 木村建築研究所は、現時点では、契約書に押された社判・法人印が真性か偽造かについて主張を明らかにしていない。

施工業者・鹿島の責任は?
 鹿島は「設計図面に従っただけ」と主張するが、設計ミスの責任を完全に逃れられるわけではない。最高裁判決(2007年7月6日)は「建物としての基本的安全性」を欠いている場合、施工業者・設計者・監理者が居住者らに不法行為責任を負うという判断を示しているからだ。原告の指摘する耐震不足などの欠陥が裁判所に認められれば、基本的安全性を欠くことの法的責任から逃れられない。

 そこで、鹿島は、責任ゼロと完全に免責されるわけではないが、施工者としての損害賠償責任の負担割合を軽減するために、設計通り建築しただけだから責任が軽いという主張を押し出したと思われる。

 原告側は、設計ミスが単に設計者の責任ではなく、それを見逃した施工業者・鹿島の責任の大きさを指摘しているとともに、今後、ずさんな施工を詳しく明らかにしていく見通しだ。
 原告側が設計上の欠陥として挙げているのは、地盤種別の偽装、鉄骨の柱と梁が結合されていないこと、西側外階段が構造上、建物本体と梁で接続されていないこと、柱脚が非埋め込み型なのに埋め込み型で耐震強度を設計していることなどだ。原告側は、危険極まりない単純な設計の誤りを指摘できたはずだと考えている。

(つづく)
【山本 弘之】

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