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マイナンバーは怖くない!従業員が提供を拒否したら...
2015年11月25日

 マイナンバーの通知カードがやっと届き始めた。日本郵便の発表(11月19日)では、家庭に届いたのは、全体の約25%。大都市を中心に、国立印刷局から郵便局への搬入が遅れたためだ。地方公共団体情報システム機構の「個人番号カード総合サイト」によれば、福岡市では、11月20日に差出が完了した。差出から20日間程度までに届けられると見込んでいる。一方、再配達の希望が夕方・夜間に集中し、日本郵便では希望日・時間帯の変更のお願いを出す事態になっている。

 マイナンバー通知カードの受け取りを拒否する動きがある。個人情報のひも付け範囲が広範で、個人情報流出の恐れがあるうえ、誤配達や誤交付が相次ぎ、制度の信頼が揺らいでいるから、当然の反応と言える。
 行政手続きでのマイナンバーの利用は、2016年1月から始まる。悩ましいのが、従業員が拒否したときの会社の対応である。
 国税庁に続いて、厚労省も雇用保険業務について、従業員がマイナンバーの提供を拒否した場合のQ&Aで、従業員が拒否した場合、会社は記入しないで提出しても良く、記入がないからといって受理しないことはないし、罰則もないとしているので、まずは安心だ。会社として強制する必要もないし、強制できないので、「法律で決まっているのでマイナンバー提供に協力してほしい」とお願いして、それでも駄目なら、経過を記録しておけばいいだろう。

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 会社がマイナンバーを記入しなければいけない主な場面は、(1)給与・退職所得の源泉徴収票作成、(2)雇用保険・労災保険届出、(3)健康保険・厚生年金保険届出、(4)国民年金の第3号被保険者の届出などだ。
 まずやってくるのが年末調整で、2016年分の扶養控除申告書には、マイナンバー記載欄がある。
 ここで、扶養控除申告書を集めるのにマイナンバーの記入を求めないといけないと、大慌ててで、管理ルールも定めていないまま、周知も十分にせず、従業員からマイナンバーを取得すると、万が一漏えいしたら、会社の責任になる。漏えいした場合の罰則は故意犯を想定しているので、ただちに罰則の適用はない(国税庁Q&A)とされているが、民事訴訟や労使の信頼関係喪失のリスクが怖い。
 管理ルールや体制を決める前に、マイナンバーを集めて保管するのは、「漏れてください」と言っているようなものだ。

checklist1_s1.jpg 国税庁の説明によれば、15年末までに集める場合、マイナンバーの記入義務がないが、記入してもらうことは差し支えなく、記入してもらわなかったとしても16年になってから、マイナンバーを集めればよいとされている。
 ここは、年内は記入しないでやり過ごすのが得策である。年明け以降の、雇用保険の資格喪失・取得あたりから、きちっとできるように、年内はルール作りと周知、責任者と担当者の教育に力を入れた方が無難だ。
 その際には、一般的な管理規定をつくることも必要だが、実践的なルール(マニュアル)が重要だ。ポイントは、マイナンバーを記入する法定届出書を洗い出して、作成担当者、責任者を決めて、業務をルール化することである。
 もう1つのポイントは、有効な漏えい防止対策だ。個人情報流出の6割以上は、事業者自身から直接漏れている(消費者庁調べ)。独立行政法人の調査によれば、組織内部者が個人情報や開発情報を持ち出すという不正行為への気持ちを高める項目として、不当解雇通知や、給与や賞与への不満、人事評価への不満が上位3位を占めている。労使の信頼関係を意識することが、防止対策の有効性を高める。
 就業規則と同じく、流通している「ひな形」の規則を作るだけではなく、社労士を活用して、効果的な安全措置を講じてほしい。

【山本 弘之】

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