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仲盛氏が控訴、「建物の安全性は証明された」~一級建築士免許取消事件
2016年6月 8日

 元・一級建築士の仲盛昭二氏は6月8日までに、国土交通省が1級建築士の免許を取り消した処分の取り消しを求めた訴訟で、請求を棄却した判決を不服として、福岡高裁に控訴した。福岡地裁(岡田健裁判長。倉沢守春裁判長代読)は6月2日、判決を言い渡し、仲盛氏の構造計算した建築物の構造耐力上の安全性が確認されていても、構造計算に不誠実な行為があったとして、請求を棄却した。

nakamori.jpg 仲盛氏は控訴にあたって、「お上に逆らう者からは、剥奪される事がはっきりした」と、国を批判。「私の専門分野である建築構造の技術面に関して、判決の中で一切触れられておらず、対象となった物件の構造検証、行政の安全証明により、建物の安全性(=適法)は再確認されたものと判断している」としている。

 国交省は、仲盛氏が代表を務めていたサムシングが請け負った構造設計を巡って、仲盛氏の免許取消処分を繰り返した(今回が2回目)が、今回の判決が司法判断としては4回目。これまでは仲盛氏が実質的に3連勝しており、国家権力を相手に、実質3勝1敗(勝率75%)の結果となった。
 国交省は2008年6月、仲盛氏が関与した構造計算書に不誠実な行為があったとして免許取り消し処分(1回目の処分)を行い、仲盛氏が処分の取り消しを求めて福岡地裁に提訴するとともに取り消し処分の執行停止を申し立てた。福岡地裁は09年9月、不誠実行為にあたらない可能性があるなどとして1審判決まで効力を停止する決定を出した。その後、国交省が11年7月、「免許取り消し処分の手続きに違法がある恐れがある」として処分を取り消したため、仲盛氏が実質勝訴(判決は、訴えの利益がなくなったとして請求を棄却)。
 国交省は、2012年6月、新たに仲盛氏を処分するために言い分を聞く機会として聴聞手続きを開始し、2013年8月まで中断を含めて約1年間にわたって聴聞を実施し、同年9月に免許取り消し処分を行った(2回目の処分)。仲盛氏はこれに対し再び、処分の取り消しを求めて福岡地裁に提訴するとともに取り消し処分の執行停止を申し立て、福岡地裁は13年11月、1審判決まで、免許取り消し処分の効力を停止する決定を出していた。

 仲盛氏は、「今後は、建築業界に遠慮する必要は全くありませんので、今まで以上に設計の事、施工の事、長年の経験を基に、悪徳業者や行政と徹底的に戦う」と話している。
 杭打ちデータ偽装で傾いた横浜市のマンションで、「構造スリット」が設計図どおり施工されていない疑いが新たに発覚したと報じられているが、仲盛氏はすでに構造スリットの未施工問題を「建築界を揺るがす大問題」と警鐘を鳴らしていた(「どうなる新耐震基準、地域係数の見直し必要~熊本地震、損壊住宅1万棟(前)」参照)。構造スリットは、地震の揺れが伝わるのを遮断し建築物の部材が柔軟に動くために柱と壁などの間に設けられる隙間のこと。仲盛氏は、横浜市のマンション管理組合の関係者と連絡を取っており、同マンションや「構造スリット」問題をはじめ、欠陥マンション問題に積極的に取り組む意向だ。

【山本 弘之】

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